どんぐりブログと申します!
4年間イタリアンレストランのキッチン仕事に従事していた経験から食品レビューを発信しているブロガーです。
そんなどんぐりブログですが、今回は【ナレッジ】シリーズ!生ハムです
今回は生ハムの中でも世界三大生ハムの一角、金華ハムこと「金華火腿」をピックアップします!
金華火腿をきいたことがなかった方も、これから生ハムのことを知りたい方に
役立てる情報だと思います!
それではさっそくいってみましょう!
金華火腿について
そもそも「金華火腿」とは…?
金華火腿とは生ハムの一種類のことで、イタリアのパルマハム、スペインのハモンセラーノと共に
世界三大ハムと称される生ハムの1角のハムです。
中国で生産されるハムの中でも最高級の品として、世界中で愛されています。
日本語では「きんか かたい」と読み、中国語では「ヂンホア フオトェイ」と読むそうです。
もっとも、浙江省では呉語が使われているのでヂンホア フオトェイとは少し違うかもしれません
(呉語での読み方はわかりませんでした…すみません!いつかリライトします)
産地
中国 浙江省(せっこうしょう) 金華市が発祥です。
加工に使われる品種は「両烏豚」という頭と尻尾側が
カラスのように黒い豚です。
(出展:(株)平田牧場 様)
この両烏豚の特徴は、皮が薄く骨が小さいことです。さらに美味しいハムにするために、エサには
一般的な飼料である麦・トウモロコシではなく野菜中心となります。
そのため、加工がしやすく美味しいハムになってくれます。
また金華火腿には、生後6ヶ月の両烏豚の後ろ足のみが使用されます。
もともとモモ肉は脂肪分が少なくヘルシーなので、赤身があって美味しいですよね!
金華火腿の歴史
800年前には製造されていた記述が残っています。
当初金華市が交通の便が悪く飼育した豚の運搬が困難であり、温暖な気候のため肉が変質しやすい
などの理由から、農民が生肉の加工・保存用として考案した食品と言われています。
味・香り共に優れており、貯蔵性がよいため携帯もしやすい観点から商品として
製造されるようになりました。
また、1915年第一次世界大戦前夜に開催されたことでも有名な「パナマ太平洋万国博覧会」の
商品部門1等賞に選出の他、西湖博覧会・全国優良博覧会などにおいても受賞されてきています。
工程
金華ハムの作り方は、工程が100に分かれていると言われるほど複雑かつ、地方により
多々あります。しかし大きく分類すると3つのフローとして、考えられます。
1.塩を大量にまぶしまくり、塩漬けにする
2.しっかりと塩分が浸透した頃、表面の塩を洗い流し屋外の風通しのよい場所に吊るして陰干しする
3.身が硬くなるまで干したら屋内の涼しい場所へ移し、さらに硬くなるまで乾燥させつつ熟成させる
の3工程です。
しっかりと、塩を揉みこみカビを増やすことが重要です。
火腿とは
切った断面が火のような赤さを持っていたので、火腿と呼ばれるようになったが
もともとは「火肉」と呼ばれていました。
これが「火腿」となった由来は、南宋時代・高宗皇帝に極めて高い品質が認められた説や、
製造開始の初期に塩漬け・洗浄後、弱火で炙っていたためとも言われていました。
左の画像のように、金華火腿は
ピンク色した普通のハムや、薄い赤色をした普通の生ハムとは違い、
赤身の色が濃い深紅なお肉であることがわかると思います。
(出展:(株)夏越物産 様)
金華火腿の成分
ある検体での調査報告によると、金華火腿と市販豚もも肉との比較で全アミノ酸は金華火腿が
市販より1.3倍多く、遊離アミノ酸は1.6倍もの差がありました。
アミノ酸と遊離アミノ酸の違いは、たんぱく質から既に分解されているか否かで決まる。
たんぱく質が分解されることでアミノ酸に変わりますが、アミノ酸の中でも遊離アミノ酸は既に
分解されているアミノ酸のことを指します。
この遊離アミノ酸が重要で、グルタミン酸など、舌に触れることで旨みを感じさせる成分が
遊離アミノ酸には含まれています。
つまり、遊離アミノ酸が金華火腿と市販の豚もも肉と比較して1.6倍の数値があるということは、
その分旨み、個人的には幸福度が高くなると思っています。
金華火腿の食べ方
生ハムだが、加熱して食べる方法が一般的です。スープに入れると凝縮された旨みが溶け込むスープになり、チャーハンに入れると脂の融点が低いため素早くお米をコーティングしてくれ
パサパサになってしまうことを防いでくれるでしょう。
加工工程でカビが生えるので、生はちょっと考えモノかもしれませんね。
日本への浸透
家畜伝染病予防法の兼ね合いで1990年代後半まで輸入されることはありませんでした。
しかし現在では、何らかの処理を施した金華火腿なら輸入解禁となっています。
しかし輸入解禁からしばらく経過しますが、まだまだ日本で一般的に流通しているお店は少ない
と思います。
まとめ
今回は世界三大生ハムの1つである、「金華火腿」をご紹介しました!
初めて両烏豚を聞いた方もあるのではないでしょうか?
私も初めて両烏豚や金華火大を聞き、いろいろ調べました!
調べていく中でかなり勉強になった内容もあり、大好きな生ハムの知識が深まりました。
ちなみに、私がオススメしている生ハムのご紹介ページはこちらになります↓
それでは、次回の更新でお会いしましょう~!
参考文献:中国の金華火腿製造における微生物機構(著:和久 豊 氏、角田 潔和 氏、小泉 武夫 氏)
日本食品化学研究所会誌 第47巻 第2号 別刷より
読んでいただきありがとうございました!
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